
固定残業代を採用しております。
運用はそのままでも大丈夫なのでしょうか?
こういった疑問にお答えします。
基礎からわかる、固定残業代のリスクと運用について。
固定残業代として、毎月一定額の給料を支払うことができれば事務作業も短縮され、効率的であるかのように見えます。
果たして、実務上は問題にならないのでしょうか?
定額残業代やみなし残業代などと呼ばれることもあります。
法的には、どのように解釈されるのでしょうか!?
固定残業代は認められるのか?
労働基準法37条で、使用者に割増賃金の支払いを義務付けております。
・趣旨:使用者に割増賃金を支払わせることによって、時間外労働を抑制させること
■割増賃金の率
時間外労働:2割5分
休日労働:3割5分
労働法は労働者保護が原則であるため、固定残業代も労働者に有利な部分については違法とはなりません。
しかし、固定残業として設定されている時間外労働以上に労働があった場合は追加で支払いが必要になります。
■固定残業代の形態
・定額手当制
基本給とは別に、定額の手当を支給するもの
・定額給制
基本給に固定残業代が含まれているもの
いづれも労働基準法37条には違反しない。(運用が正しいという前提)
明確区分性
・割増賃金相当部分をそれ以外の賃金部分から明確に区分することができること
・割増賃金相当部分と、(固定部分以外の)通常の割増賃金とを比較対照することができること
・支払いが検証できること
・雇用契約書等に明確に明記されており、従業員に周知されていること
・固定残業代以上の時間外労働があった場合の計算方法についても明記されていること
以上の要件が必要である。
万が一、明確に区分されずに、通常の賃金だとみなされた場合
すべて割増賃金を計算する基礎に含まれてしまう。
今後、消滅時効の年数も増えます。(今後5年になっていく)
企業のリスクとして、残業代未払いという法的リスクです。
労働者が多くなるほど、リスクは高まりますので、点検が必要でしょう。